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- %V%Wモバイル68で行こう!
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- つれづれの7(不定期掲載)
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- 編集部:あいはら
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- <インターミッション>
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- @NIFTY の FSHARP(シャープ・プロダクツ・ユーザーズ・フォーラム)が取り
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- 組んでいた、シャープ製 X68000用ソフトウェアのフリーソフトウェア化がこの
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- 4月、実現した。本体の ROM、Human68kや SX-WINODWなどの基本ソフト、開発キッ
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- トなどが、順次@NIFTY内で公開されていく事になった。FSHARPの方々の努力には、
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- 心から感謝し、労をねぎらいたい。
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- 本体の「ROM」といえば、EX68に欠かせないものの一つであったが、これが再
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- 配布可能になったことは、即ち X68000本体なしでもエミュレータを動作させる
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- ことができるようになる、という事であり、ソフトウェアに関しては、今後もユ
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- ーザーが比較的安心して使う事ができるという事でもある(そりゃ無敵の「独禁
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- 法違反」ゲイツ様のマシンが要るけれど)。
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- ともかく、今後どのようなX68エミュレータユーザーが生まれてくるか、それ
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- はそれで楽しみでもあり、電脳倶楽部のユーザーが培ったものを継承する新たな
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- 世代の出現を願いたいものだ。最初は「過去のゲームソフトが遊びたい」という
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- だけのユーザーでもいいだろう。大方は不届き者で終わるかも知れないが、その
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- 中から別の興味を持つ人間が出るに違いない。我々だってモトをたどれば、そん
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- な「へっぽこ野郎その1」だったのではないか?
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- いずれにしても、XCのライブラリや SCDなど、フリーでEX68上で使えるツール
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- が増える事は、ソフト屋にとってはそれだけでも価値あることだ。ライブラリ等
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- はマニュアルがないのがナニだが(そこは、電クラとしてもなんとかしなきゃい
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- けなかった案件なのだが…、後の祭か)。
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- <全方位なのである>
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- さて、本題はそれくらいにして、今月は、サウンド面を攻めることにした。
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- EX68のアーカイブには、m_puusan氏の開発した X68の内蔵音源エミュレーショ
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- ンのための、X68Sound.DLLファイルが添付されている。これは、EX68など「DLL
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- を利用するプログラム」の付属品としてのみ配布が可能、という条件になってい
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- るようだ。
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- 実際に聴いた感じでは、かなり OPMに近い音が出てくるので、最初にインスト
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- ールした時は非常に驚かされたものである。ZMUSIC 2.0xも(細かいコマンドご
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- とに調べてはいないが)概ねちゃんと鳴っている。電脳倶楽部に掲載した楽曲は
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- 逐一チェックしてきた私が聴いても、かなりイイ線である。まあ、このコーナー
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- は技術面をすっ飛ばした入門的コーナーなので、このドライバの仕組みなどに深
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- 入りするつもりはないが、ソフトウェアシンセの技術は身につけたいものですな、
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- という気にさせる。このあたり、ソフトウェアシンセの基本的な考え方や解説は
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- 舩本君方面にまかすとして、普通に音楽を作ったり鳴らしたりといった実用方面
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- を検討してみよう。
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- 添付されたドキュメントでは、基本的に Pentium II 233MHzクラスの CPUを要
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- するとある。また、Lite版(軽い方)では MMX Pentium 233MHzクラスとある。
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- いまや、ノートPCにも Pentium IIIが載ってしまったりするご時勢なので、まず
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- 性能的問題はないだろうが(ていうか、メビウスPC-PJシリーズの最新版はモバ
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- イルPentiumIIIの500MHzだそうな。うちのマシンも半年を過ぎるが、同じくらい
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- の値段したのになあ、これだから、ゲイツマシンは嫌なんだよな)、要求スペッ
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- クギリギリのマシンでは、やはりそれなりの工夫をしなくてはならない事もある。
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- 特に、EX68の optionメニューを音楽再生用に最適化するにはひと工夫必要だ
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- ろう。
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- <いろいろとセッティングには気を使う>
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- まず、画面描画関係の書き替え速度などを操作したりして、できるだけスムー
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- ズに再生させたい。今回のサンプルでは、55f/s(これは音声を使う場合変更不
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- 可)のチェックボックスをオンにして、書き替え速度は x8に設定し、不要な
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- (グラフィック画面を使った再生ソフトなどは困るだろうが)テキスト以外のグ
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- ラフィック画面などをOPTIONメニュー/DEBUGの項目でオフにした。
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- OPTIONメニュー/その他の互換/速度の項目は、「VSYNK待ちをしない」のみチェッ
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- クを入れる。純粋に画面書き替えが発生した場合には、これでも落ちるのは避け
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- られないのだが、それ以外の場面で、特にシーケンスの細かいところのモタりを
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- 防ぐには、とにかく55f/s x8のタイミング以外ばっさり動かなくするのがよいだ
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- ろう。あと、ジョイスティックなんかも「なし」でもいいかもしれない。
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- 重要なのが、Windowsのマウスカーソル。これはオプションでもなんでもない
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- が必ずEX68の画面の外に置くようにする。カーソルを動かしたり画面内に置いた
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- だけで演奏がモタりまくるので注意。
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- シンセサイザの計算自体は、PentiumII 300MHzで余裕で間に合っているような
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- 感じなのだが、いかんせん Windowsみたいな非リアルタイム OSの場合、急な負
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- 荷の上昇に対応してくれないので、モタる事は完全には止められないのだが、ま
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- あモタりが5秒に1回起きるのと、1分に1回くらいまでに抑えられるのとでは、
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- かなり聴いた感じが違うので。
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- 後、あまりやりたくないが、ゲームなど、他のソフトからZmusicを使わないよ
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- うな、純粋に音が鳴ればいいのであれば、画面のプロパティから、ディスプレイ
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- のハードウェアアクセラレーションを完全に切る、などの方法もある。これだと、
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- マウスカーソルをいくら動かしても関係なくなる。
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- <ハードに特有の問題に気をつける>
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- また、Windows上で動いている他のソフトはなるべく外すようにした。もっと
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- も、EX68がほとんどCPUパワーを持っていくので、なんらかの問題が出ない限り
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- はあまり気にすることもないだろうが、自機のメビウスの場合、シリアル系統は
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- 100BASE-TX(LANコネクタ)と USBを同時に使うと不具合のある組み合わせがあ
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- るので、多少気を使ってみた。
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- <予想外の問題>
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- さて、そこまでやって、再生テンポは妥協できるところまで来たとする。
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- ところが、録音してみると、結構パチパチといった高周波ノイズが発生してい
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- るのだ。デジタルなのに、なんでじゃ~、と思いいろいろ調べてみると、原因は
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- やはりデジタル音声の同期にある事が判明。
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- USBオーディオデバイス(UA-30)から、S/PDIFのコアキシャルデジタル出力を、
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- DSP FACTORYのS/PDIFコアキシャルデジタルインに入力し、パワーマックのオー
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- ディオシーケンサにハードディスク録音していたのだが、あまりにもクロックに
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- バラつきがあるため、同期ずれを起こしてブチブチいっていたのだ。最初は、ワ
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- ケがわからず困ってしまっていたが、DSP FACTORYは同期を外部クロックで合わ
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- せるセッティングができるので(さすが高級ボード)UA-30側に合わせることで、
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- これでようやくノイズフリーな録音ができた。しかも、音量はかなり自由にセッ
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- ティングできるので、多少元々小さい音のFM曲でも、かなりイイ感じに仕上げ
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- られる、というオマケつき。
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- まずは、デフォルトのEX68の音というのをフルデジタル録音で聴いてみよう。
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- ◎聴くげま。 TYPE=CDP:6
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- ちょっと解説を加えると、個々のデジタルオーディオ機器のクロックは正確に
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- 44100kHzをきざんでいるワケではない。だいたい、安定しているものでも数Hz
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- ~数10Hz程度の誤差を含んでいる。そういうわけで、1対1の場合はどちらかが
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- どちらかに自動的に追従すれば済むのだけれど、3台以上を直列に繋ぐと(この
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- 場合は、Windows>UA-30>DSPFACTORY>PowerMacという接続になっている)どれ
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- が基準かを決めてやらなければならない。DSPFACTORY>PowerMacの間はソフトウェ
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- ア的にちゃんと調整されているのであまり問題ないのだが、UA-30>DSPFACTORY
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- の間は、ハードでしか繋がっていないわけで、この部分をどちらをマスターにし、
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- 合わせてやらなければならない、ということなのだ。
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- <純粋に音としては>
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- 松本さんのこの曲を聴いただけではわかりにくいのだが、本物と違うところは
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- あって、ノイズ系の、モジュレータのTLが小さい音や、フィードバックの大きい
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- 音色では多少違って聞こえる。まあ、全く同じ成分のノイズというわけにはいか
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- ないだろうし、再生用のDAでも特性が変わってくる事もあるので、そのあたりの
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- 違いを押さえておけば、EX68の環境でもFM音色づくりやデータ作成が可能であ
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- る、という結論に達した。
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- <DSPとその文化的背景>
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- さて、ついでといってはなんだが、エフェクト周りをちょっと突っ込んで説明
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- しておこう。完全に私の趣味領域なので、嫌な人は、ここらで戻るボタン、じゃ
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- なくて両クリックでさようなら。
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- ◎これを聴いてね。(う) TYPE=CDP:7
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- さて、これが先ほどのデータにいわゆる「リバーブ」エフェクトをかけたもの
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- だ。これはこれで、なんか面白いと思わないだろうか。かなり質のいいリバーブ
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- なので、これだけでも、FM音源が高級音源の仲間入り、とまでいくかどうかは
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- さておき、十分CDに使える音源になってくれることはご理解いただけたのでは
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- ないだろうか。
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- 実は、少し前にリバーブとかエコーとかの定義の説明を鎌田君にしようとして、
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- あまりに情けない説明をしてしまったので、ここで、もっと砕いてわかりやすい
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- 説明を試みたい。
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- ◎これを聴いてにょ。(で) TYPE=CDP:8
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- さて、これはリバーブエフェクトを構成する音の中で、初期反射音と呼ばれる
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- ものを原音に付け加えたものだ。あまりリバーブっぽくないでしょ。むしろ、
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- 100ms程度のディレイ、といった趣きだ。距離にして約17m先の壁の跳ね返りを表
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- 現するものだ。
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- ◎これも聴いてにゅ。(ぷ) TYPE=CDP:9
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- んでもって、これは初期反射音+リバーブ音のみを合成したもの。原音はカッ
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- トされている。まあ、これはこれで、ガヤとか遠くで鳴っているSE音なんかに
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- も活用できそうな感じになる。
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- ここで、洗面器を頭上に落とすとしよう。じゃなくて、洗面器に水を張って、
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- 小石でも1セント硬貨でもいいのだが、ポチャンと落としてみよう。波が輪っか
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- のように広がって、洗面器の縁にあたって跳ね返ってくるだろう。このとき、最
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- 初に跳ね返ったものは、逆方向の輪っかの形で跳ね返るだろう。しかも、輪っか
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- 形は残っている。これが音でいうと初期反射音、または一次反射音に相当するも
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- のだ。形が残っている、ということは、原音よりも弱い音だが原音の輪郭がわか
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- る音なのだ。で、原音よりエネルギーは弱くなっているが、形はほぼ一緒の音に
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- なる。つまりディレイ(遅れた音)のように感じるわけだ。また、ディレイは原
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- 音の鳴っている間に重なって鳴る初期反射音を指し、エコーは原音が鳴り終わっ
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- てから、時間を置いて鳴る音、つまり原音と完全に分離している反射音である。
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- エコーとディレイは、原音と分離しているか、していないかの区別であり、現象
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- 自体は、大雑把に言って距離の違いでしかない。
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- で、洗面器に戻るが、小石の波は縁にぶつかる事を繰り返すと、「輪っかの形
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- がわからない」ぼんやりした水面の揺れになる。これが、余韻であり、リバーブ
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- なのである。室内やホール内では、洗面器の波と同じような物理現象が起きてい
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- るのである、ということなのだ。
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- さすがに、数学はできないので、式を書くことはできないが、まあ、そういう
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- ことで、反射音と、空間を漂う余韻では、見た目にも違いがある、ということな
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- のだった。この両方を原音と合成して鳴らす事で、いかにも現実っぽい雰囲気を
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- 与えてくれるのがリバーブエフェクトなのである。
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- なぜリバーブエフェクトが必要かというと、それは気持ちイイから、というだ
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- けではなく、現代の録音環境にあるのであって、ホールやコンサート会場を借り
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- 切って録音を行うようなお金のある人はごく一部で、みんなスタジオのような狭
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- い空間で録音を行っている。それにもお金はかかるし、設備のいいスタジオを誰
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- でもが使えるワケでもない。さらにスタジオの狭い空間の音ばかりでは、リスナ
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- ーの音楽生活に潤いがないであろう。そういうわけで、色々なパラメータ(空間
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- であるとか室温であるとか物理現象を計算に入れたり、ありえない物理現象のパ
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- ラメータ)を駆使しながらエフェクトプログラマは闘っている、のではないだろ
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- うか。
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- てなわけで、お聴かせしたように、世の中には、原音と反射音とリバーブ音を
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- 別々にコントロールできちゃったりするソフトウェアのエフェクタもあるのであ
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- る、という驚愕の事実はわかっていただけたであろう。あれは…いいものだ…。
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- じゃなくて、使い方によっては、非常におもろい効果を得ることができるわけで
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- あり、皆さんもDSPのソフトをつくるならは究極的にそこまで見据えてコーディ
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- ングに励んでいただきたい、と思うのであった。思っただけで終わりか!!!
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- <今月のポイント>
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- あ、EX68で要マウスのゲームをする時などにマウスカーソルのゴミが残ってし
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- まって邪魔な時、DEBUGモードのTEXT画面をOFFにするとよいケースがある。村田
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- 氏の麻雀「じょんぐ」なんかも、マウスカーソルで牌が見えなくなる、なんて事
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- 態がなくなり、これでバッチリ遊べる。EX68で遊んだ中では、一番快適なスピー
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- ドで遊べるゲームなのではなかろうか。もちろん、ゲーム後にはテキスト画面を
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- クリアしてやらないといけないけど。
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- またまた散漫になってしまったが、今月はこれまで。また来月。
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- (EOF)
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